リパクレオンとはどんなお薬?

レパクレオン

膵外分泌機能不全(PEI)治療薬リパクレオン

膵外分泌機能不全(PEI)という病気は、膵臓の外分泌機能の低下により、膵臓から十二指腸に本来分泌される膵酵素が欠乏し、脂肪、蛋白質、炭水化物の消化吸収障害が起こった病態のことです。

PEIに伴い、脂肪便、下痢、脂肪性ビタミン欠乏症等の症状が生じ、最終的には栄養障害や体重減少が起こってしまいます。

それを改善するヴィアトリス製薬のリパクレオンのポイントについてお伝えいたします。

リパクレオンの基本情報

総称名:リパクレオン

一般名:パンクレリパーゼ

欧文一般名:Pancrelipase

製剤名:パンクレリパーゼ製剤

薬効分類名:膵消化酵素補充剤

リパクレオンには、リパクレオン顆粒300mg分包とカプセル150mgが製造承認を取得しています。

効能・効果は「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」であり、用法・用量は「1回600mgを1日3回、食直後に経口投与」です。

欧米では、PEIの治療に高力価パンクレアチン製剤による酵素補充療法を行うことが一般化しています。

リパクレオンは海外では既にドイツ、英国、米国など世界80カ国で発売されています。

リパクレオンのメリット

PEIは、非代償期の慢性膵炎、膵切除、膵嚢胞線維症などが原疾患です。

従来の治療では、不足する膵酵素を補うためにパンクレアチンなどの消化酵素剤の大量投与が行われてきました。

リパクレオンのメリットは、ブタの膵臓からパンクレアチンを高度に抽出・精製した高力価製剤であり、大量投与を必要としないことです。

なぜなら、リパクレオンはパンクレアチンと比較して、単位重量あたりリパーゼで約8倍、プロテアーゼで約7倍、アミラーゼで約6倍の高い力価を有しています。

また、リパクレオンは、胃内での失活を防ぐために腸溶性コーティングがなされ、粒径も十二指腸で効果を発揮しやすいように設計されています。そのため、服用により効率的に消化・吸収を促し、栄養状態を改善することが期待できます。

リパクレオンの効果は?

リパクレオンに関して、日本で実施された、非代償期の慢性膵炎または膵切除による膵外分泌機能不全患者におけるプラゼボ対照二重盲検比較試験があります。

脂肪摂取量と便中脂肪排泄量から算出される「脂肪吸収率」の投与前後の差が、プラセボに比べて有意に改善したと報告されています。

また、他の臨床試験では、膵嚢胞線維症の患者でも脂肪吸収率の改善も認められています。

こうしたことから、リパクレオンは、非代償期の慢性膵炎など、PEIを呈した患者の治療ならびにQOL向上に大いに貢献できる薬剤として期待されています。

リパクレオンで注意することは?

リパクレオンは、臨床試験などでも良好な忍容性が確認されているものの、便秘、下痢、発熱、腹部膨満、高血糖などの副作用が報告されています。

国内の副作用

非代償期の慢性膵炎又は膵切除を原疾患とする膵外分泌機能不全患者
国内の臨床試験における安全性評価対象例149例中64例(43.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が報告された.主な副作用は,便秘7例(4.7%),下痢7例(4.7%),発熱6例(4.0%),腹部膨満5例(3.4%),高血糖5例(3.4%)でした。

膵嚢胞線維症を原疾患とする膵外分泌機能不全患者
国内の臨床試験における安全性評価対象例5例中3例(60.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が報告され,その内訳は,肛門潰瘍1例(20.0%),下痢1例(20.0%),胃腸炎1例(20.0%),麦粒腫1例(20.0%),CK(CPK)上昇1例(20.0%),γ-GTP上昇1例(20.0%),腎機能障害1例(20.0%)であった.また,海外の臨床試験における安全性評価対象例129例中55例(42.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が報告された.主な副作用は頭痛12例(9.3%),鼓腸8例(6.2%),腹痛7例(5.4%)でした、

使用禁忌

また、次のような患者さんには、使用は禁忌です。

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

ブタ蛋白質に対し過敏症の既往歴のある患者

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