乾皮症や皮脂欠乏症湿疹という皮膚の病気を知っているだろうか。
乾皮症や皮脂欠乏性湿疹は、基本的には高齢の方に多い皮膚の病気だが、最近では若い方でもこの病気になる方もいるという。
そこで今回は、乾皮症とは?について、皮脂欠乏症湿疹になりやすい人の傾向や乾皮症・皮脂欠乏性湿疹の医薬的措置を、述べていく。
乾皮症になりやすい人
乾皮症は、角質層の水分が減少し、皮膚が乾燥した状態で乾燥肌の医学的な呼び方である。ドライスキンと呼ぶこともある。
皮脂欠乏性湿疹とは、乾皮症の症状がある上に、お肌に何らかの刺激物が接触することで、刺激性接触皮膚炎などが加わって、湿疹を生じた状態のことを指す。
皮脂欠乏性湿疹の特徴として、中高年者の手足、特にすねの外側に痒みを感じる方が多いようだ。
高齢になると誰でも皮脂の分泌量は減るため、乾燥肌になりやすい傾向がある。
しかし最近では、若い方でも洗剤や化学成分をよく使う美容師などには乾皮症、皮脂欠乏症湿疹は見られる。
若い人は、皮脂分泌も多いので、健康な方ならそのリスクは低いと言われているが、皮脂欠乏性湿疹は、近年、子どもや若い世代にも増えてきている。
たとえば、アトピー素因のある子ども、潔癖症でからだを強く洗う人もリスクが高くなる。
そういう点では、「皮脂欠乏性湿疹は、若くてもなる可能性があるもの」というのが、正しい認識であると言える。
また、2020年から続く新型コロナウイルス感染予防のために、過度に手やからだを洗うことも乾皮症や皮脂欠乏症湿疹になるリスクが高まる。
とは言え、ウイルス対策は必須と言える昨今では、自分の体調や症状、手のザラつきなどとよく向き合い、管理していく必要があるだろう。
乾皮症の医薬的措置
乾皮症や皮脂欠乏症湿疹にはさまざまな対処法がある。
衣服や保湿、生活習慣の見直しなど、自力で対処できる方は身近なところから試していくのが良い。
身近な対処をしても治らない、もしくはかゆみが酷いといった場合は、医療機関を受診することをお勧めする。
皮膚科で処方されるのは、大きくは「保湿剤」「ステロイド外用薬」「抗ヒスタミン薬」の3種だ。
皮膚科では、保湿剤の有効成分としてヘパリン類似物質を含んだヒルドイド軟膏やローション、スプレーなどが処方される。また、尿素を含んだケラチナミンクリームも処方されることがある。
ヘパリン類似物質は、ヒルドイド0.3%製剤として有名で、表皮の基底層まで浸透して保湿し、炎症を抑えるはたらきや血行を促進させる効果もある。
季節によって使い分けることが可能なため、例えば夏はヒルドイドローションやスプレーを処方されることがある。
ステロイド外用薬とは、皮膚外用合成副腎皮質ホルモンで炎症を抑える塗り薬である。
皮脂欠乏性湿疹の根本的な治癒の前に、炎症を抑えることで痒みを緩和することが目的の医薬品だが、長期間使用し続けると、皮膚が薄くなるというリスクもあるため、注意が必要である。
抗ヒスタミン剤とは、痒みを抑える飲み薬である。この薬も皮脂欠乏性湿疹の根本的な治癒のためのものではなく、かゆみを起こす原因であるヒスタミンが肥満細胞から出るのを抑えたり、ヒスタミンの作用をブロックするはたらきのある治療薬である。
副作用としては、眠気、のどや口の渇き、便秘などがある。
そのほか、かゆみが強い場合は抗アレルギー剤の飲み薬を処方されたり、漢方薬を処方されるケースもあるが、皮膚科でもらった薬だけでは皮膚の疾患は完治しづらく、何度でも繰り返してしまうこともある。
そのため、皮膚科のお薬と日常の生活習慣改善を意識して、並行して皮脂欠乏性湿疹の完治を目指すことが大切だ。
まとめ
ここまで、乾皮症になりやすい人やその対策である医療的ケアについて取り上げた。日常生活の改善や、身近にできる対策から始めてみることが良いだろう。